境法]
[環境法]
〔第1問〕(配点:50)
A社は,電力事業の規制緩和に伴い,B県C市において,D発電所(石炭火力,出力17万キロワット)の設置を計画した。これに対して,同計画予定地付近の住民Eは,D発電所が稼働すれば,その居住地の窒素酸化物濃度について,近隣に所在するF社のG発電所からのばい煙と複合して,環境基準を超えることが予想され,健康被害が発生すると危惧している。この場合において,以下の設問に答えよ。
〔設問1〕D発電所の設置工事の事業は,環境影響評価法が定める第一種事業に当たり,A社は,同法に基づく環境影響評価手続を開始した。B県知事とEは,環境影響評価手続において,意見書を提出したいと考えているが,それぞれどのような機会があるかを述べよ。なお,電気事業法が定める環境影響評価に関する特例については,考慮しなくてよい。
〔設問2〕その後,D発電所の工事計画は経済産業大臣の認可を受け,D発電所が操業を開始したところ,Eの居住地において,窒素酸化物の濃度が,常時環境基準を25%超えていることが確認されるようになった。健康被害が発生すると危惧するEは,A社及びF社に対してどのような訴訟上の請求をすることが考えられるか。また,その場合の法律上の問題点について論ぜよ。
〔設問3〕F社は,地球温暖化対策の推進に関する法律第21条の2に規定する特定排出者として,G発電所の温室効果ガス算定排出量の報告義務を負っている。当該報告に係る事項を集計した結果は公表され,当該報告に係る事項は開示請求の対象となっている。この仕組みは,環境法政策の手法としてどのように説明され,規制的手法と比較してどのような特質があるか述べよ。
〔第2問〕(配点:50)
環境基本法第4条は,持続的に発展することができる社会が構築されるための環境の保全の在り方について,社会経済活動その他の活動による環境への負荷をできる限り低減することその他の環境の保全に関する行動がすべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われるようになるべき旨の基本理念を規定している。環境法の分野の各法において,環境への負荷のできる限りの低減とすべての者の公平な役割分担とを柱とする上記の基本理念はどのように表れているかという観点から,以下の各設問に答えよ。
〔設問1〕⑴容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(以下「容器包装リサイクル法」という。)第4条が事業者及び消費者の責務を定めている趣旨を,地球温暖化対策の推進に関する法律第20条の6第1項が定める責務との異同及びその理由に言及しつつ,説明せよ。⑵容器包装リサイクル法第10条の2が指定法人又は認定特定事業者から市町村への金銭の支払義務を定めている趣旨を,同法が定める特定事業者の義務並びに同法及び他の関連法が定める市町村の役割を踏まえつつ,説明せよ。
〔設問2〕⑴自然公園法が,国立公園内の特別地域及び海域公園地区における一定の行為について,環境大臣の許可を受けなければ行ってはならないものとしている趣旨を,許可を受けられない場合における制度的手当にも触れつつ,説明せよ。⑵地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関する法律が,地域自然環境保全等事業を実施する区域内に立ち入る者から「入域料」を収受することができるものとしている趣旨を,【資料】を参照しつつ,説明せよ。
【資料】
○地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関する法律(平成26年法律第85号)(抜粋)
(目的)
第1条
この法律は,入域料をその経費に充てて実施する事業又は自然環境トラスト活動を促進する事業を通じて自然環境を保全し,及びその持続可能な利用を推進することの重要性に鑑み,地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関し,基本方針の策定,地域計画の作成等について定めるところにより,地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を図り,もって地域社会の健全な発展に資することを目的とする。
(定義)
第2条
この法律において「地域自然環境保全等事業」とは,都道府県又は市町村が,自然公園法(昭和32年法律第161号)第2条第2号に規定する国立公園(以下「国立公園」という。),同条第3号に規定する国定公園(以下「国定公園」という。)等の自然の風景地,文化財保護法(昭和25年法律第214号)第2条第1項第4号に規定する記念物に係る名勝地その他の自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を図る上で重要な地域において,当該地域の自然環境を地域住民の資産として保全し,及びその持続可能な利用を推進するために実施する事業であって,当該事業を実施する区域内への立入りについて,当該区域内に立ち入る者から収受する料金(次条第2項第1号及び第4条第2項第1号ハにおいて「入域料」という。)をその経費に充てるものをいう。
2この法律において「自然環境トラスト活動」とは,自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を図ることを目的とする一般社団法人若しくは一般財団法人若しくは特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人若しくはこれらに準ずる者として環境省令・文部科学省令で定めるもの(以下「一般社団法人等」という。)又は都道府県若しくは市町村が行う次に掲げる活動をいう。一自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を目的として前項に規定する地域内の土地(その土地の定着物を含む。次号において同じ。)を取得すること。二前号に掲げるもののほか,前項に規定する地域内の土地に係る活動であって自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を目的とするものとして環境省令・文部科学省令で定めるもの
3この法律において「自然環境トラスト活動促進事業」とは,都道府県又は市町村が,当該都道府県又は市町村の区域における自然環境を地域住民の資産として保全し,及びその持続可能な利用を推進するため,自然環境トラスト活動を促進する事業をいう。
4この法律において「地域自然資産区域」とは,地域自然環境保全等事業が実施される区域及び自然環境トラスト活動促進事業に係る自然環境トラスト活動が行われる区域をいう。