判例
民事訴訟法民事執行・保全判例百選第3版35
地上権不存在確認請求本訴,地上権存在確認請求反訴事件
法定地上権の成否(1)
全文
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人小口恭道の上告理由第一点の一、第二点について
土地及びその上にある建物がいずれも甲、乙両名の共有に属する場合において、土地の甲の持分の差押えがあり、その売却によって第三者が右持分を取得するに至ったとしても、民事執行法八一条の規定に基づく地上権が成立することはないと解するのが相当である。けだし、この場合に、甲のために同条の規定に基づく地上権が成立するとすれば、乙は、その意思に基づかず、甲のみの事情によって土地に対する持分に基づく使用収益権を害されることになるし、他方、右の地上権が成立することを認めなくても、直ちに建物の収去を余儀なくされるという関係にはないので、建物所有者が建物の収去を余儀なくされることによる社会経済上の損失を防止しようとする同条の趣旨に反することもないからである。
原審の適法に確定した事実関係によると、原判決別紙物件目録一記載の土地及びその上にある同目録二記載の建物はいずれも上告人及びDの共有であったところ、右土地の上告人の持分について強制競売が行われ、被上告人が右持分を買い受けたというのであるから、右の強制競売による売却によって民事執行法八一条の規定に基づく地上権が成立するものではないというべきであり、同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。所論引用の判例は、事案を異にし本件に適切でない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
同第一点の二について
原審の適法に確定した事実関係の下において、所論の点に関する原審の判断は正当として是認することができる。原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に立って原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官
大白勝
裁判官
大堀誠一
裁判官
小野幹雄
裁判官
三好達
裁判官
高橋久子