判例
憲法憲法判例百選Ⅰ第8版A15
風俗案内所営業権確認等請求事件
風俗案内所規制条例の合憲性
全文
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
1 上告代理人藤居弘之の上告理由第2及び第3について
京都府風俗案内所の規制に関する条例(平成22年京都府条例第22号。以下「本件条例」という。)は,風俗案内所に起因する府民に著しく不安を覚えさせ,又は不快の念を起こさせる行為,犯罪を助長する行為等に対し必要な規制を行うことにより,青少年の健全な育成を図るとともに,府民の安全で安心な生活環境を確保することを目的として(1条),学校,児童福祉施設等の敷地から200m以内の区域(営業禁止区域)における風俗案内所の営業を禁止し(3条1項),違反者に対して刑罰を科することを定める(16条1項1号)とともに,表示物等に関する規制として,風俗案内所を営む者が,風俗案内所の外部に,又は外部から見通すことができる状態にしてその内部に,接待風俗営業(歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなして飲食させる営業)に従事する者を表す図画等を表示すること等を禁止している(7条2号)。
風俗案内所の特質及び営業実態に起因する青少年の育成や周辺の生活環境に及ぼす影響の程度に鑑みると,本件条例が,青少年が多く利用する施設又は周辺の環境に特に配慮が必要とされる施設の敷地から一定の範囲内における風俗案内所の営業を禁止し,これを刑罰をもって担保することは,公共の福祉に適合する上記の目的達成のための手段として必要性,合理性があるということができ,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく風俗営業に対する規制の内容及び程度を踏まえても,京都府議会が上記の営業禁止区域における風俗案内所の営業を禁止する規制を定めたことがその合理的な裁量の範囲を超えるものとはいえないから,本件条例3条1項及び16条1項1号の各規定は,憲法22条1項に違反するものではないと解するのが相当である。
また,風俗案内所が青少年の育成や周辺の生活環境に及ぼす影響の程度に鑑みれば,風俗案内所の表示物等に関する上記の規制も,公共の福祉に適合する上記の目的達成のための手段として必要性,合理性があるということができ,京都府議会が同規制を定めたことがその合理的な裁量の範囲を超えるものとはいえないから,本件条例7条2号の規定は,憲法21条1項に違反するものではないと解するのが相当である。
以上は,当裁判所大法廷判決(最高裁昭和29年(あ)第2861号同36年2月15日大法廷判決・刑集15巻2号347頁,最高裁昭和45年(あ)第23号同47年11月22日大法廷判決・刑集26巻9号586頁)の趣旨に徴して明らかというべきである。論旨は採用することができない。
2 その余の上告理由について
論旨は,違憲及び理由の不備をいうが,その実質は単なる法令違反をいうものであって,民訴法312条1項又は2項に規定する事由のいずれにも該当しない。よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官
木 澤 克 之
裁判官
櫻 井 龍 子
裁判官
池 上 政 幸
裁判官
大谷直人
裁判官
小池 裕