判例
民法民法判例百選Ⅲ第3版50
土地建物所有権移転登記手続請求事件
親権者の一方と子の利益が相反する場合の代理方法
全文
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理 由
上告人A1代理人弁護士北川省三、上告人株式会社A2銀行代理人弁護士横尾義男、上告人両名の復代理人弁護士鍛治利一及び同吉田賢三名義の上告理由第一点について。
しかし、当裁判所は、本件のような場合には、利益相反の関係にある親権者は特別代理人の選任を求め、特別代理人と利益相反の関係にない親権者と共同して代理行為をなすべきものとする原判決の見解を正当としてこれを支持し、所論引用の判例の見解をとらない。それ故、所論は採用できない。
同第二点について。
原判決の引用する第一審判決の適法に確定したところによれば、要するに、本件事業の主体は父Dであつて、原告(被控訴人、被上告人)ではないというのである。されば、かような事実関係の下では、本件行為をもつて民法八二六条一項の利益相反行為に当る旨の原判決および第一審判決の判断は正当であつて、所論の違法は認められない。
同第三点について。
しかし、原判決の判示によれば、判示売買は、単なる通謀虚偽の表示に過ぎないものではなく、被控訴人を代理する権限のない者が代理してなしたものであると認定し、従つて、全く無効なものであるというのである。されば、原判決には、所論の解釈を誤つた違法は認められない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官の全員一致で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官
斎藤悠輔
裁判官
入江俊郎
裁判官
下飯坂潤夫
裁判官
高木常七