判例
商法会社法判例百選第4版7
有価証券偽造、同行使
株式の仮装払込みの効力
全文
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人三木今二、同千森和雄、同大塚正民の上告趣意は、判例違反をいうけれども、原判決が論旨引用の刑事判例と相反する判断をしたものとは認められない。また論旨引用の民事判例は本件と事案を異にし適切でなく、その余は単なる法令違反ないし事実誤認の主張であつて、適法な上告理由にならない。
なお、原判決の確定するところによれば、被告人が本件約束手形を作成した当時、「株式会社A」は設立準備中であつて法人としては実在せず、その発起人代表たるBは右会社の代表取締役に就任していなかつたのであるから、被告人が、たとい右Bの承諾を得たとしても、右事実を知りながら行使の目的をもつて、振出人を「株式会社A代表取締役B」と表示し、その印を押捺して、いかにも実在する右会社が振出したものと誤信させるような約束手形を作成するときは、架空の会社の代表資格を冒用したものとして、有価証券偽造罪が成立するものというべきである。この点に関する原判断は正当である。
その他記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
昭和三八年一二月六日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官
奥野健一
裁判官
山田作之助
裁判官
城戸芳彦
裁判官
石田和外