判例
民事訴訟法民事訴訟法判例百選第6版A18
証明責任の分配——背信行為と認めるに足りない特段の事情
全文
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人田中和の上告理由について。
土地の賃借人が賃貸人の承諾を得ることなくその賃借地を他に転貸した場合においても、賃借人の右行為を賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、賃貸人は民法六一二条二項による解除権を行使し得ないのであつて、そのことは、所論のとおりである。しかしながら、かかる特段の事情の存在は土地の賃借人において主張、立証すべきものと解するを相当とするから、本件において土地の賃借人たる上告人が右事情について何等の主張、立証をなしたことが認められない以上、原審がこの点について釈明権を行使しなかつたとしても、原判決に所論の違法は認められない。それ故、論旨は採用に値しない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官
松田二郎
裁判官
入江俊郎
裁判官
長部謹吾
裁判官
岩田誠