憲法憲法判例百選Ⅱ第7版123
法廷内の秩序違反に対する監置の合憲性,法廷秩序維持のための特殊処罰と憲法上の権利,司法の自己保存と令状主義・適正手続の適用範囲
判例ID: constitutional~s-33-10-15-s-g-k-01
法廷等の秩序維持のための監置決定・拘束合憲判決,谷本幸雄事件(法廷秩序維持法監置事件),最大決昭和33年10月15日(法廷秩序維持法事件)
昭和33年10月15日 最高裁判所大法廷 決定
昭和28(秩ち)1法廷等の秩序維持に関する法律による制裁事件についてなした抗告棄却決定に対する特別抗告棄却刑集 第12巻14号3291頁
事実
【事件の背景と法廷内での行為】
1953(昭和28)年11月30日、大阪地方裁判所において監禁等被告事件の審理が行われていた。被告人XおよびYを含む27名の審理の最中、XとYは裁判長の制止を無視し、許可を得ずに、多勢を頼みにして腕を組み、放歌合唱を行い、勝手な発言をした。
さらに、裁判長に対して、Xは「おい、裁判長、きいているのか、貴様……返事しろ」「裁判長黙秘権かどうした返事せ、返事をおい」などと罵倒し、Yも「売国奴とはお前の事だ」と裁判長を侮辱する発言をした(以上につき《大阪地決昭和28.11.30》)。
【裁判長による制裁決定】
裁判長は、XとYが「裁判所の職務の執行を妨害し」「裁判の威信を著しく害した」として、に基づきXとYをその場で拘束した。同日、の「制裁を科する裁判」を開き、補佐弁護人の陳述を経た後、に基づきXとYを監置(留置)5日に処する決定を下した。
【抗告と高裁の判断】
翌日に釈放されたXとYは、法秩法がに反し、大阪地裁決定は違憲無効であると主張して抗告した。法秩法2条適用の誤りの主張、および違反の主張も含めて争った。
大阪高裁は抗告を棄却した(《大阪高決昭和28.12.19》)。高裁は、法秩法2条の制裁は「本質上秩序罰の類型に属し」、一般刑事手続によらないから監置と拘束は「憲法の規定が関連を持つものでない」として令状の必要性を否定し、に反しないと判断した。
【最高裁への特別抗告】
XとYは、「秩序罰」という概念が不明確であり、法秩法の拘束と監置が実質上刑罰と同等であるとして、違反を主張して特別抗告を行った。